記事: 立花英久の塑像 2024.12.14(土)-22(日)
立花英久の塑像 2024.12.14(土)-22(日)
いばらから
いちじくはとれないし
と彼女はいった。野ばらからぶどうなんて摘めないでしょ、木は実ってから見分けることができるの。
そう?
そうよ。だってあの本に書いてあったもの。彼女はそういって、だまってしまった。
きみの顔を見ないほうがいいような気がした。それから(ぼくにはそれがとても長い時間に感じられた)、息をととのえるみたいにきみはとても慎重に声を出しはじめる。
神様が、いるのかいないのか、それはわからない、だけど花は、いつだってどこかで咲いている、そのことはわかる、その感じでいいとおもってる。
彼女はそういうと、ぼくの手をぎゅっとにぎりなおすのだった。