2012.11.8 thu. - 11.15 thu.
寺井 陽子 展/Yoko Terai 陶器
寺井陽子さんは、土と居心地良く対峙する本能を持ち合せているのでしょう。
有機的なフォルムですが、洗練されていて無駄を感じません。また、生命体が結果として保っている、自然で収まりの良いバランス感覚があります。
寺井さんは1年前にご結婚。長く住み慣れた兵庫から仙台に引っ越しました。「生活も環境も立場もいろいろ変化し、作品がどんな風に変わるのか? 私自身、客観的に楽しみにしていたんですが、、、。いざ制作にかかってみると相変わらずでした(笑)」
寺井さんの制作は、まず『紙とペン』から始まります。そんな導入部分も、依然としてそのままだそうです。「文章にしたり言葉にしたりという、取りたてた理由づけはないのですが,頭の片隅に残っている形が線となって描かれていきます」と。
私の仕事は紙と滑りのよいペンから始まります。
無数に描いた形の中から、立っている姿を見てみたい、触れてみたいと思ったものを選びます。そしてワクワクしながら土に向かいます。
ヒトの体のしなやかさ
植物のツルが絡む様子
湿った空気に包まれ呼吸している苔の感触
熟れすぎた木の実の匂い
日々に起るちょっとした感触が、密かにラインになって現れ作品に変化を与えてくれているように思えます。
現在の私と惹きあうモノを作り続けたいと思います。
1998年 寺井陽子