日本の古典的図柄や異国の伝統的モティーフなど、ルーツが異なる象徴的な文化がミックスされた密度の濃い上絵が施されています。また、鳥？　ウサギ？龍？　時には前後に頭がある得体の知れない動物など、ユニークなフォルムです。
植葉香澄さんは、『キメラ』というシリーズで一連の陶芸作品を制作し続けています。『キメラ』とはギリシャ神話に登場する複合怪物です。あり得ない組み合わせということから「不可解な夢」「不調和な幻影」を表すこともあるそうです。

植葉さんに取り込まれた記憶の断片が、寓話性を持って一つの作品に集結されていくのでしょう。装飾過多ながら、混在した文化には不思議な懐かしさがあり、居心地の悪さを感じることがありません。

装飾品として充分に満足できる作品ですが、酒盃、花器、茶椀、水差し、香炉など機能も備わっています。
今回は加えて、ウイスキーボトルとしても使える容器もいろいろ制作してくださいました。使ってもらうことも享受しながら、アーティストとしての表現を惜しまない植葉香澄さん。毎回楽しみな個展です。