2015.5.30 sat. - 6.7 sun.
新里 明士 展
大小の穴が連なる心地良いリズム。光を透過することで心そそられる世界。「光器」と題された新里明士さんの作品は、一度眼にしたら深く印象に残ります。そして多く海外の地でも、高い評価を得ています。
「昔の人から伝わってきたものと、自分で判断して考えたもの」「使えるものと、使えないもの」新里さんはそんな狭間の中で、自分の立ち位置を探りながら制作を続けています。
2011年、文化庁の派遣でアメリカボストンにある美術研究所で制作するという機会を得ました。「日本人は器にまず用途を求め、その視点から作品を見るけれど、アメリカ人は使うということに重きを置かず、器そのものの美しさを求めることを肌で感じました。そこで導いた結論が、自分の作品である『穴』を強調させることでした」
光を透過することで生地の透明感が際立つ白磁のシリーズ。穴が強調される視覚的なインパクトが特徴のブルーのシリーズ。目的も印象も異なるこの二つのシリーズでの制作イメージが、次々と湧いているようです。
「今回の個展は“新しいものずくし”です。試作をしながらずっと心に暖めていて初めて形になるものばかり。丸い大きめの穴をあけたブルーのオブジェや白い磁器の蓋もの“ボンボニエール”や、その他にも、、、」と。
2003年、サボア・ヴィーブルで初個展開催という長いご縁の新里さん。「意識して“今”を壊していくように心掛けている」という言葉をギャラリーにも投げかけてくれます。背筋が伸びる展覧会開催です。