2016.3.4 fri. - 3.13 sun.
植葉 香澄 展
ルーツが異なる、象徴的な文化がミックスされた密度の高い絵付け。得体の知れない動物にも似た、ユニークなフォルム。植葉香澄さんは『キメラ』というシリーズで、一連の陶芸作品を制作し続けています。『キメラ』とは、ギリシャ神話に登場する複合動物。あり得ない組み合わせということから「不可解な夢」「不可解な幻想」を表すこともあるそうです。
友禅の絵師だった祖父のもとに育ったという、植葉さんの境遇も影響しているのでしょう。装飾過多にもかかわらず、混在した文化には不思議な懐かしさがあり、居心地の悪さを感じることがありません。陶芸という伝統的な技術を基本に、アーティストとしての自由な表現能力を得て、気持良く楽しく制作をしている気分が伝わってくる作品です。
「今回は、薪で焼いた白い土や粉引の生地に絵付をしてみました。均一な表情の磁器とは全く違う土の感触を感じながら、時に残したい土味は余白にしたり、、、。今までとは違う想いで制作が出来、楽しかったです」と。
装飾品として充分に満足できる作品ですが、酒器、香炉、茶碗、水差しなど機能も備わっています。新たな趣の植葉さんの作品展。大いに楽しみです。