2016.4.29 fri. - 5.8 sun.
鎌田 克慈 展
『乾漆』という技法は、型に麻布を貼り重ね、漆で固めていくというやり方なので、最終のフォルムは自分の意図するところとなります。従って、自由な造形を楽しむオブジェの作家が多い中、鎌田克慈さんは、使うための器の制作を続けています。そしてますます、フォルムに対するこだわりも強くなってきています。
「ガラスや焼き物が持っている“うねり”のラインが好きです」という。有機的で心地良いバランスを狙って、フォルムの基となる原型は自ら作ります。粘土で形を整え、素焼にした陶器を原型にして乾漆の器を作っていくのです。
「最近は懐石料理の器としての漆器を、意識して制作しています」と。前回の個展では、以前から好きだった中国の宋時代の輪花の磁器のフォルムを試みて下さいました。そして今回は、懐石に欠かせない酒器の新作を。乾漆ならではの特長を生かし、微妙にシンメトリーを外したラインの美しい徳利、片口、ぐい呑なども出品されます。
毎回新しい試みに挑戦して下さる、鎌田さんの個展です。