2008.5.6 tue. - 5.13 tue.
片山 亜紀 展/Aki Katayama 陶器
2008.5.6 [tue] – 5.13 [tue]
Beyond the Lines
恵まれた自然環境のもとで、幼少時代を過ごしたからでしょうか。
大自然が造り出した造形や質感が、片山亜紀さんの美意識の原点になっているようです。
年代を重ねた地層、風化した石の質感、何年も眠っている海底の貝や珊瑚の様など。
生まれ育った土地を離れた今でも、植物、石、山などの写真集を見ることが大好きだそうです。
そのせいもあってか、シンメトリーの形は落ち着かないようです。
わずかにはずした左右のバランス、歪んだ曲線の妙は、すべてに心が行き届いていながら、わざとらしさがなく、かといって洒落ていて、暖かいです。
色合いや文様を計算に入れ、何層も重ねた土の塊から意図した形をくり抜き、そこから更に磨いて凹凸の表情をつけて、ようやくフィニッシュ。途方もなく手をかけて創られた器です。
「前回の個展では、あえてカチッとした線が生かされる形を意識して創ったのですが、今回は“有機的な生地に柔らかい曲線”というフォルムを狙ってみました」と、ますます彼女の持ち味が生かされそうです。
京都芸術大学時代から続けている“手捻り”による器も、併せて制作。
一輪挿し、マグカップ、酒器、しょうゆ差しなど、ひとつひとつ丁寧に創られています。
器という小さな世界でも、自然界の片鱗を感じさせるフォルムと質感です。