2011.2.9 wed. - 2.17 thu.
立花 英久 展/Hidehisa Tachibana 塑像
2011.2.9 [wed.] – 2.17 [thu.]
カ ナ シ ミ
・・・・レアリテと僕との間で ④・・・・
「手」 立花英久
わたしの手の不器用さゆえか、あるとき思いもよらないかたちが目の前にあらわれるときがある。頭のなかで思いえがいたかたちをあっけなく突き抜けてしまった、その得体の知れないかたちに出会うと、まるで「わたし」に出くわしたかのような、おどろきと、よろこびさえ感じる。手が、作ることを意識しようものなら、それはたちどころに消えてしまい、もう二度と会うこともない。どこでやめるか、とよく似ているが、それらは結局頭の考えることで、また一からやり直すしかない。作っていないのがいい、とわたしが言うが、作ろうとする手はわたしから生えている。そうやってわたしの手は、たびたび止まってしまう。土を盛れば、山には勝てないと思い、木を削れば、朽ち木にかなわない・・・・・・。わたしはじっと手を見る。「わたし」はその手に映らない。