2017.12.16 sat. - 12.25 mon.
立花 英久 展
動いてはいけない 立花英久
「中原中也のこと」(吉田秀和『ソロモンの歌』所収)の中に「動いてはいけない。あせってはいけない。」という箇所を見つけたときのことを思い出して、その本を家中探し回ったけれど見つからなくて、古本屋を巡ってやっと文庫本を見つけ、そのページを繰ってそれが書いてあることを確認してから迷わず買って、家に帰った。「動いてはいけない」わりに動き回ったのだけど、初めてそれを読んだときのいわゆる「感じ」をいちばん確かめたかったはずなのに、それが思い出せない。読めば内容の意味は入ってくる、なのにあのときの「感じ」が言葉として手もとに戻ってこない。動いてはいけない。だけど少なくともそういう「感じ」がずうっと手を動かしている。