Exhibition

2021.7.24 sat. - 8.1 sun.

大平 和正 「風還元/茶碗」自選十碗 展

大平 和正 「風還元/茶碗」自選十碗 展

“茶碗という彫刻”

「荒々しく力強い大平氏の茶碗は、
手にするとき その控えめでやさしい事に一瞬たじろぎます。
そして、しだいに静寂な自然への広がりが見えて来るのが不思議でなりません。
大きな作品を次々に世に発表して来られた氏が、
両の掌ほどの抹茶の碗に深く興味を持たれた事は何とも刺激的です」
18年前、初めての茶碗を世に問うた「初めての茶碗」展を開催した、
茶室「壘庵(上田邸)」のN子氏のコメントです。

私にとっての“茶の湯”は、
彫刻家としてめざしている<大地=土、からカタチを立ち上げる>という
「風還元」の理念のもと、
造形と場、時間、命など、
その関係性から立ち現れる彫刻体としての
独自の「環境造化<気(いのち)の生まれる時空間>」と同じものなのです。
そして茶碗は、それを構成する核であり、
器としての概念を有しながらもそれを突き抜けたオブジェ(彫刻)として
圧倒的に存在するものと捉えています。

“一碗でいい”
茶碗のカタチの向こうにひろがる無限を内包する茶碗との出合いを夢みている。

太平和正

水田を見下ろし自然の樹々に囲まれ佇むその茶室は、「風気庵」という名にふさわしい。

「どうぞ、、」という亭主の大平和正さんの呼びかけに、待合の外腰掛けからおもむろに立ち上がり、にじり口から茶室に。
小間の床の間にただ一つ置かれた茶碗のみ、というしつらえに一人対峙する事しばし、、、。
自らの手による土壁に囲まれた襖を開け、正座姿で一礼し迎えて下さった大平さんは、まさに武士の様(さま)でした。

大平和正さんは、「茶碗は彫刻」という自らがたどり着いた制作理念のもと、長きに渡り茶碗に挑み続けています。
茶室という空間を支配する茶碗という造形物に行き着いた大平さんは、茶人として選ばれし彫刻家なのでしょう。

風還元というテーマのもと、10年間もの歳月をかけて制作した「入道谷の野外彫刻展」
その後の直径4.1メートル、重さ21トンの「巨大球体の実現」
それらの制作を通して大平さんが行き着いた確信は、茶の湯は「環境造化」であるということ。
茶の空間での茶碗も、野外彫刻での造形も、そのスケールの差こそあれ同じものだということ。

東京での茶碗展は13年ぶり。
2018年京都で「茶碗は彫刻」宣言後、東京では初めての発表です。
大平さん自らが厳選した10碗展。
ご来場の上、「手取り」という茶碗ならではの魅力も味わっていただければと思います。

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